静岡銀幕週報 33

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>■■□　　静岡銀幕週報　　　　
>□■■　　　　　　第33号　　　2007/12/16　　　　
                                      
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┃Ｎ┃■┃作品レビュー
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┃■┃アイ・アム・レジェンド
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「原作にケンカ売ってるのか？」

静岡オリオン座で14日15：30の回、客入りは130人ほど。

原作が古典SFの名作なので期待していたんだけど・・・。
映画とは全然違うので、まず原作のネタバレからさせてほしい。

人間をバンパイアにする最近が蔓延し、人々はバンパイアになるか襲われて殺されるかして
人類は主人公のネビルを残すのみになってしまった。
夜行性のバンパイアが眠る昼間はネビルにとって天国。無人の街を歩き、眠るバンパイアを見つけては
心臓に杭を打って殺して歩く。逆にバンパイアが押しかける夜は地獄。
そんなある日、生き残りの女性とめぐり合い、家に連れ込む。しかしその女性は実はバンパイアのスパイだった。
つーか、ネビルは「バンパイア」としてしか認識していなかったが、バンパイアには人間の理性を失った
動物のようなヘビーなバンパイアと、人間の理性を保ったままのライトなバンパイアがいたのだ。
ライトなバンパイアたちはやがて組織化され新しい社会を作り、ヘビーなバンパイアと戦っていたが
それより恐ろしいのは昼の安眠時を狙って自分たちを殺して回る恐ろしい殺人鬼の存在。
ネビルに情を移した女スパイバンパイアの逃亡の導きを拒絶してニューヨークに居つづけたネビルは
新しいバンパイアの社会の中でネビルは伝説のバンパイア殺しとして死んでいく。

善悪の基準は立場によって変わってくる、その大逆転が自然なストーリーの中で行われる衝撃こそ
「地球最後の男」が名作として語り継がれてきている理由だ。
これは現在の正義国家アメリカの中東政策にも似たようなことが言える。
正義のアメリカにとってイスラムは一方的に襲ってくるバンパイアなのだろうが、イスラムの人たちにとっては
アメリカこそが伝説の殺人鬼だろう。

さすがにアメリカではそんな映画は作れませでしたか、ああそうですか。
だったら「地球最後の男」に手を出すな、黙ってろ！！！
こんな、ただの犬かわいい脅かしゾンビ映画にしやがって！
それとも先ほどあげたアメリカ中東の関係になぞらえれば、自分たちの世代では中東との戦争には
勝てないけどその意思を次の世代に託す、というアメリカの敗北宣言ですか？

で、原作の設定を借りただけで映像に都合のいいストーリーを無理やりでっち上げたものだから
どーしてそうなるのかなっって部分がいくつもあるんだけど、ま、いっか。
だってどうでもいいもん、この映画。
「THE LAST MAN ON EARTH.」という原作のタイトルから、誰もいなくなったニューヨクを
想像して映像化したらすごいだろうな、という幼稚な発想を商業ベースに乗せただけなんだもん。
その場面だって動物が出てくるあたりなんかCGモロバレレベルだけどさ。


公開中
静岡オリオン座・MOVIX清水



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誰かに聞いてほしかっただけなんだよ、この憤りを。


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